「成功体験がない」という褒め(?)言葉

「君には成功体験がないのがいいね〜」

これは、確か15年ほど前に会社のあるOBから会合の席で放たれた言葉である。これは皮肉かとも思ったが(おそらくその方はそのつもりだった)、自分なりの解釈では応援のメッセージであり、ある意味でお褒めをいただいたものと勝手に思い込んでいる。

前職での33年という長い間、上司や同僚など社内関係者、顧客担当者、取引関係者外の多くの人からさまざまな支援を受けてきたことがあったからこその33年間であった。本当に人に恵まれていたという実感がある。

入社数年後から退社直前に至るまで自分のやりたい仕事をやらせてもらったことがなによりも有り難かった。その一方において、会社への貢献という意味で胸を張って言えるものがほとんどかったことは申し訳ない気持ちである。

25年以上に知り合えた取引先、お客様とはいまでもお付き合いをいただいている方が何人かいる。その一方では、なにかと気にかけてくれた忘れがたい一番の恩人と言える方とは長年音信不通となったままとなっている。もうその方は75歳を過ぎたくらいか、まだ携帯電話の電話帳には残ったままにある。つながるかどうかわからないが、勇気をもって一度連絡をしてみようかと、思うものの自分のことを覚えてくれているかは自信はない。

冒頭のOBの方は今年90歳になる。コロナ禍が落ち着いたころに訪ねてみたいと思っているが、その時にはどんな皮肉を浴びせられるだろうか。